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東芝の巨額損失 見通しの甘さが露呈した

 日本を代表する大手電機メーカーの東芝が米原発事業で巨額損失を出し、存続の危機に直面している。

 会見で明らかにした損失額は計7125億円にも上る。昨年12月末時点では負債が資産を上回る債務超過にも転落していた。志賀重範会長が引責辞任し、事業売却や再編で経営の立て直しを目指すが、先行きは険しいと言わざるを得ない。

 東芝は2006年、米原子力大手のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を買収するなど、原発の海外展開を主力事業に据えてきた。ところが、15年にWHを通じて買収した米原発建設会社で巨額損失が発生した。

 米国で建設中の新型原子炉4基の事業費用が大幅に膨らみ、資産価値が想定より下がったのが原因という。東京電力福島第1原発事故で規制が強化されたために設備費や人件費が増大した。

 事業の見通しやリスク管理に甘さはなかったのか。東芝は昨年12月、WHからの報告でようやく事態の深刻さに気づいたという。そもそも建設会社の買収自体が、費用負担を巡り争っていた相手を取り込む狙いがあったとされる。経緯の検証が必要だろう。

 さらには、14日に予定されていた決算発表が米原発事業で新たな不正の疑いがあるとして突如延期される異例の事態となった。混迷を象徴するようなドタバタぶりだ。調査の結果次第では業績がさらに悪化する可能性もある。

 東芝の企業統治(コーポレートガバナンス)欠如は15年にも厳しく問われている。

 リーマン・ショック後の業績不振を隠すため、利益を水増しする不正会計に手を染めた。問題発覚後、歴代社長3人が辞任。ブランドイメージが大きく失墜したのは記憶に新しい。従業員の大規模リストラや看板事業だった白物家電の売却などでしのぎ、経営再建の途上にあった。

 東芝は原発の損失を埋めるため、業績が好調な半導体事業の分社化などで苦境を乗り切る構えだ。外部からの出資を受け入れ、全株式売却も視野に入れるという。既に韓国や台湾のメーカーが出資を検討している。

 原発事業は縮小する。建設から事実上撤退し、原子炉の納入や保守、廃炉に軸足を移す。原発への風当たりの厳しさを直視せずに拡大路線を突き進んできた判断を大きく修正した格好だ。

 ただ、半導体のような優良事業の切り売りは今後の収益悪化にもつながる。目先の危機の一時しのぎに終われば、経営破綻寸前に台湾企業に身売りしたシャープの二の舞いにならないとも限らない。

 原発部門からの人材流出も心配される。福島原発の廃炉作業に関わっており、日本が脱原発依存を目指すためにも技術力や経験が必要だ。

 財界トップも輩出してきた名門企業である。大胆な再建戦略を示してもらいたい。

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