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豊島の公害調停 合意内容巡り対立 香川県と住民側、15日に協議

香川県が埋め立ての可能性を示した粗大スラグ(手前)。青色シート下の黒い袋の中には処理前の豊島産廃が入っている=8日、直島の処理施設

 香川県・豊島の産業廃棄物不法投棄問題で、県と住民側による公害調停の合意内容を巡って双方の主張が対立している。調停では産廃の溶融処理で生じる副成物(燃えかす)について「再生利用を図る」と定めているが、県は産廃増加を理由に埋め立て処分することを検討しており、これに対し住民側は調停に反する行為として難色を示している。島外への産廃搬出期限の3月末が迫る中、双方は15日に協議するものの先行きは見通せない。

 「副成物を再生利用したいが期限を守る必要もある」。県が埋め立ての可能性を明らかにした翌日の1月30日。浜田恵造知事は定例記者会見で背景を語った。

 2000年の調停成立後、県が03年から続ける豊島産廃の島外搬出・溶融処理は厳しい状況にある。約2万2千トンの産廃を昨年新たに確認し、調停で3月末とした搬出期限を達成できない恐れが出てきたからだ。

 県は処理施設がある近隣の直島への輸送船を増便して搬出を急いでいるが、1日の処理能力を超えているため施設内に処理前の産廃がたまり続けている。3月20日ごろに約9500トンにも達する見通しという。

 この対策として副成物の「粗大スラグ」を埋め立て処分する検討に入った。施設内には、セメント原料のスラグを三菱マテリアル九州工場(福岡県苅田町)に移送するまで保管しておく場所があり、スラグの処分で空いたスペースを処理が追い付かない産廃の仮置き場に転用する考えだ。

 ■可能な限り

 「調停違反は明確」。住民側は4日に開かれた県との定例協議会で、埋め立ての可能性について説明した県を批判した。明らかになったのは、調停に明記された「副成物の再生利用を図る」という文言の解釈を巡る両者の隔たりだ。

 再生利用について県側は「『可能な限り』との意味」と強調し、努力目標との姿勢を示したのに対し、住民側は「搬出期限や仮置き場確保を理由に再資源化を放棄することを調停は想定していない」と主張した。

 住民側委員の石田正也弁護士=岡山弁護士会=は調停合意までの経緯に触れ「協議の途中段階では『できるだけ』との文言を入れていたが削除した。技術的に全て再生利用可能と分かったからだ」と指摘する。

 住民側にとって、粗大スラグの埋め立てを安易に容認することは、未来を見据えた調停の精神に反することにもなりかねない。調停は、約40年前に端を発した産廃問題の解決に向けて島外搬出・溶融処理の道筋を付け、さらに「第二の豊島をつくらない」との決意の象徴でもある。「再生利用を図り、循環型社会の21世紀に向けた展望を開く。調停はそう記している」と廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三事務局長は話す。

 ■代替策探し

 県は埋め立ての代替策も探しているが、その道のりは険しい。

 直島での産廃仮置き場確保で、保管場所から動かしたい粗大スラグは推計約2千トンに上る。三菱マテリアル九州工場にセメント原料としての引受量を増やしてもらうことは、生産計画の都合などで困難という。仮に埋め立てるにしても、費用は1トン当たり1万円以上とされ、財政負担が生じることがネックになる。

 15日に開催される協議で、県は埋め立ての可能性に触れた背景を改めて説明し、住民側は「代替策の動きなどを聞きたい」とする。

 どう打開策を見いだすか―。調停合意後の産廃処理を巡っては、かつて敵対関係にあった住民側と県の「共創」を理念に進んできた。そのゴールを目前にした今、大きな局面を迎えている。
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