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人工知能の読解力強化へ意欲 東ロボくん開発参加 県立大2教授

英語科目の担当で「東ロボくん」の開発プロジェクトに参加した県立大の磯崎教授(左)と菊井教授

 「東ロボくん」の名で知られ、東京大の入試突破を目指す人工知能(AI)の開発に英語分野で携わった岡山県立大情報工学部の教授2人が、研究の継続に意欲を見せている。国立情報学研究所(東京)が中心となり5年前にスタートした開発自体は今秋、断念が決まったが、将来的には苦手だった長文読解力の強化に関する課題を克服。医学など各研究分野の膨大な論文を解析させたり、人間と対話したりするAI開発に貢献したい考えだ。

 英語の担当チームは県立大の磯崎秀樹、菊井玄一郎の両教授、NTTコミュニケーション科学基礎研究所(京都)などの研究者9人で構成。コンピューターが自ら大量の英文データを分析して学習し、答えを導き出すAI技術などを用いた。

 両教授によると、今年挑戦した模試では、短い英文の空欄に入る適切な単語を選ぶといった短文問題で正答率90%を記録。AI技術で約19億の英文データを学習し、空欄の前後に並ぶ単語から統計的な判断でより的確に解答できるようになったといい、正答率は昨年の模試より約40ポイント向上した。

 一方、長文読解問題の正答率は、いわば「運頼み」レベル。東ロボくんには文脈を読み取り、正しい選択肢を選ぶための社会常識が備わっていないことが要因といい「人間なら実生活で身に付く常識を、東ロボくんにはデータとして一つ一つ教えなければ答えられない」と磯崎教授。

 模試では「靴ひもがほどけている」という知人の助言に感謝する内容を題材に「靴ひもが―」の一文を選択するよう求める会話文問題も出題。ところが、靴を履いた経験がない東ロボくんは、靴ひもを結ぶ必要性や助言のありがたみが理解できず、文意の通じない誤った答えを選んだという。

 読解力の向上について両教授は、日常生活の場面が描かれている小説や映画の脚本の膨大なデータから常識を学ぶ方法が有効とみている。磯崎教授は「毎年発表される世界中の研究論文を、研究者が全て読み込むのは無理。AIにその代わりを担わせたい」、菊井教授は「常識を身に付けさせることができれば人間と対話できるロボット開発にもつながる」と期待する。

 東ロボくん 国立情報学研究所などが2011年に着手したプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で開発された人工知能。大学や研究機関、企業などでつくる研究チームが科目ごとに開発を進め、21年度までの東京大合格を目指した。今年の大手予備校の大学入試センター試験模試では関東、関西の難関私立大を含む国公立23大学、私立512大学で合格可能性80%以上と判定された一方、東京大の合格圏には届かず、開発の断念が11月に発表された。
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