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国内初「人工手関節」岡山で誕生 帝人ナカシマメディカルが開発

岡山市の帝人ナカシマメディカルが開発した国内初の人工手関節

 岡山市の医療機器メーカーが、関節リウマチなどで手首が動かなくなった患者の治療に用いる「人工手関節」を国内で初めて開発した。実用化に必要な厚生労働省の薬事承認を25日付で取得。来春をめどに治療での使用開始を目指す。

 開発したのは、帝人ナカシマメディカル(同市東区上道北方)。同社によると、米国などでは人工手関節が実用化されているものの、国内では使用が認められておらず、現在は金属の板で手首の骨を固定して痛みを和らげる治療が主流となっている。

 人工関節を使えば、手で顔を洗ったり、化粧をしたりといった動作がよりしやすくなるといい、同社は「患者のQOL(生活の質)が大きく改善する」としている。



 帝人ナカシマメディカルが国内で初めて開発した人工手関節。手首の治療は股関節や膝関節に比べて症例数が少ないものの、10年以上前から研究を続け、実用化にめどをつけた。技術力の高さをPRし、欧米製が約8割を占める国内の人工関節市場でシェア拡大を目指す。

 開発した手関節は、腕側に入れる超高分子量ポリエチレン製の「橈骨(とうこつ)ステム」▽コバルトクロム合金製で関節の働きをする楕円(だえん)状の「骨頭」▽手の骨に入れるチタン合金製の「手根骨ステム」と「ボーンスクリュー」―の4部品で構成する。

 同社は2004年に研究に着手した。海外で実用化されていた製品は、装着しても手首の可動域があまり広がらない課題があった。同社が目指したのは、手首を前後に大きく動かすダーツを投げる動作。可動部の骨頭の形を工夫するなど改良を重ねた。

 北海道大の協力で10~13年にかけて20例の臨床試験を行ったところ、治療前にはほとんど手を動かせなかった人がマグカップを持てるようになるなど、機能回復を確認できたという。製品名は開発目標にちなみ「DARTS(ダーツ)人工手関節」とした。

 来春から手関節の専門医が所属する医療機関で臨床使用を開始。実績を重ねた上で病院数を増やし、数年後に年50例の利用を見込む。

 開発担当の石坂春彦取締役は「臨床試験では痛みの緩和や安全性も確認できた。年間数万件ある膝や股関節に比べ症例数は限られるが、手首の病気に悩む患者さんの役に立ちたい」と話している。

 帝人ナカシマメディカルは肩や指、足首の人工関節も製品化しており、手関節の追加で大半の部位の置換手術に対応できるようになる。国内の人工関節市場で2%程度のシェアを早期に10%に高めていく。

 同社は船舶用プロペラ最大手・ナカシマプロペラ(岡山市)の関連会社。プロペラ製造で培った金属曲面加工の技術を生かし、1987年に人工関節の開発をスタート。昨年4月、前身のナカシマメディカルが化学・合成繊維大手の帝人(大阪市)の出資を受け、現社名になった。資本金1億円、売上高約30億円(16年3月期)、従業員約200人。
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