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警察隠しカメラ 違法捜査の背景解明を

 今夏の参院選をめぐり、大分県警別府署の署員が野党の支援団体などが入居する建物の敷地内に無断で入り込み、隠しカメラを設置していた問題で、県警が同署の捜査幹部ら4人を建造物侵入の疑いで書類送検した。刑事部門トップの刑事官が発案し、誰も異を唱えることなく実行するというあきれた事態である。

 参院選大分選挙区では、野党統一候補の民進党現職と自民党の新人候補が激戦を繰り広げ、民進党現職が勝った。

 送検容疑は公示前の6月18~21日に、刑事課署員2人がカメラ2台を取り付けるなどの目的で、計7回にわたって無許可で敷地内に侵入したというものだ。公示後の同24日にカメラが発見されるまで、出入りする人たちを撮り続けたことになる。

 送検されたのは設置した2人のほか、上司の刑事官と刑事2課長である。署長と副署長も監督責任を問われて訓戒の処分を受けた。

 撮影は、徴税担当の自治体職員など公職選挙法で選挙運動を禁じられている特定公務員の行動を確認するためだったという。県警は「建造物侵入罪に当たる違法行為の上、他人の敷地内を撮影する必要性や相当性もない」と、不適正な捜査と認めて陳謝した。

 カメラの使用は署内の協議の際に刑事官が発案したという。県警によると、捜査でのカメラ使用はプライバシー侵害の度合いや捜査上の必要性・相当性を具体的に検討して判断する。このため、使用する際には県警本部に報告するよう会議などで各署に指示していたという。

 にもかかわらず、報告義務を負う刑事2課長は話を本部に上げず、その日のうちに署員がカメラを取り付けた。翌日、設置状況を聞いた刑事2課長は建造物侵入の疑いがあると認識したが、「いまさら本部に報告しても認められない」と放置した。他の3人も違法だという認識はあったとされる。

 違法性が分かっていながら、なぜ直ちに中止しなかったのか。理解に苦しむ。

 県警が説明しているように、特定の人物が監視の対象だったとしても、実際には出入りする不特定多数の人々が記録されている。市民のプライバシーや思想・信条の自由を侵害しかねない由々しき問題である。

 該当する捜査員の認識の甘さは言うまでもない。それにとどまらず、「他にも同じようなことが行われているのではないか」との懸念を国民に持たれたとしても、無理からぬことだろう。

 警察庁は、全国の警察にカメラの適正使用を徹底するよう通達した。信頼回復や再発防止の観点からも、警察には一連の経緯や背景などについてさらに十分な説明を尽くすよう求めたい。第三者による徹底した検証も検討すべきだろう。今回の処分をもって、全て幕引きというわけにはいくまい。

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