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路面電車、平面かデッキ2案か 岡山駅乗り入れ 市の選択に注目

JR岡山駅舎からの距離の遠さなどが指摘されている路面電車の駅前電停

平面乗り入れ

歩行者デッキ設置・円形

歩行者デッキ設置・直線形

 岡山市中心部の回遊性向上を目指した路面電車のJR岡山駅東口広場乗り入れは、検討を進めてきた市が「今秋」とする計画案決定の時期が近づき、大きな節目を迎えようとしている。議論の俎上(そじょう)にあるのは広場内まで軌道を延伸する平面乗り入れと、延伸せず駅舎2階から歩行者通路で電停に接続するデッキ設置の2方式。市がいずれを選択するか注目が集まる。

 「JRの駅から距離が遠い。どこを通ればよいのかも分かりにくい」。神戸市から旅行に来たという男性(67)は路面電車の岡山駅前電停でこう話した。

 岡山駅舎から電停まで地上を通れば約180メートルで、横断歩道が2カ所ある。地下からは直結しているが、地上へは階段しかなくバリアフリー化はされていない。

 駅東口広場への乗り入れは1990年代、民間主導で議論が盛り上がったが、市は2009年、交通戦略で長期的課題に位置付けるなどトーンダウン。13年、中心市街地の活性化を掲げる大森雅夫市長が着任後、市は再び検討に入った。

 90年代以降に全国では富山、広島、高知、熊本など7市で乗り入れが実現した。いずれも行政主導。JR中核駅と路面電車の接続を改善し、市中心部の活性化や過度の自動車依存からの転換を目指した。「(JR駅最寄りの)電停利用者が2割増えた」(高知市)、「3年でJR駅利用者が4割弱アップした」(熊本市)といい、現在も福井市で事業が進む。

利便性

 市は14年8月、有識者から意見を聞く検討会を設置し、平面乗り入れ、デッキ設置など4案を公表。その後、高架や地下も含め12案に膨らんだが、今年3月、平面とデッキの2方式3案に絞った。

 平面案(概算事業費9・8億円)は軌道を150メートル延ばし、岡山駅舎の目の前に電停を新設。乗り換え距離は約40メートルに縮まる。

 デッキ案(同20・6億~33・1億円)は形が異なる直線形、円形の2案。ともに電停は動かさず、駅舎2階から通路を延ばし、電停のホームとは階段とエレベーターで結ぶ。乗り換え距離は130~180メートルと長いが、デッキから市役所筋の歩道などを結ぶため、駅近隣の回遊性向上という効果も狙う。

 路面電車を運行する岡山電気軌道(岡山市中区徳吉町)は「駅までの距離は1ミリでも短い方が利便性が高い」。広場の土地や地下街を所有するJR西日本は「どの案がよいか軽々には述べられない。平面、デッキとも否定はしない」との立場だ。

一長一短 

 3案の選択をめぐりNPO法人・公共の交通ラクダ(同市北区丸の内)は8月、「デッキ案は乗り入れではない」と指摘し、市に平面案採用を求める提案書を出した。「デッキ案がうたう岡山駅近辺の回遊性向上は別の問題」と主張する。

 駅周辺の商業者に直接的な動きはないものの、岡山駅前商店街振興組合の土居和正青年部長は「デッキ、特に円形案は見た目にも華やか。駅前商店街などへのアクセスが改善される」とみる。

 市交通政策課によると、市役所筋を横切る平面案は交通渋滞を招きかねず、デッキ案は重みを支える地下構造物の補強のため商業スペースを縮小する可能性があるなど一長一短がある。

 路面電車に詳しい宇都宮浄人・関西大教授は「高齢者がさらに増えると公共交通の役割が増す。公共交通機関同士はできる限り近く、分かりやすく接続するのが理想だ」と指摘する。
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