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幻の現代川柳句集見つかる 山陽柳壇選者・芳賀さん入手

当時のトップ作家の句がつづられた小色紙を広げる芳賀さん

 1981年、全国の著名な川柳作家100人が自選の句を自筆でつづった小色紙集「現代川柳百人一句集」が、13日までに見つかった。当時、約500部印刷したとみられるものの市販されず、今では関係者ですらほとんど目にする機会がない貴重な句集。「川柳界の与謝野晶子」と称された人気作家の時実新子さん(2007年没、岡山市出身)ら“川柳王国”岡山を実感できる品でもある。

 本紙・山陽柳壇選者の芳賀博子さん(53)=神戸市=が6月末、交流のある川柳作家墨作二郎さん(88)=堺市=から譲り受け調べていた。墨さんは「きら星のように輝いていた人の作品が詰まった句集。(自分は高齢なので)ぜひ若い人に役立ててほしい」と書棚から探し出したという。

 句集は、金色で縁取られた小色紙(縦19センチ、横14センチ)100枚で構成。作家の自筆句に、三彩彫漆の名手とされた2代目小野為郎さん(故人)が水彩画を添え、句の情景を情緒豊かに広げている。

 柳都川柳社(本部・新潟市)が川柳界盛り上げを図って発行。掲載作家は、主幹の大野風柳さん(87)=全日本川柳協会理事長=が選考し、掲載句の選定と揮毫(きごう)を依頼した。大野さんによると、各作家に贈呈したほかは、同社内の希望者に販売したのみで、その後の活用はなかったという。

 100人には、芳賀さんの師の時実さんを筆頭に、弓削川柳社の設立者丸山弓削平さん(1990年没)や津山番傘川柳会の定金冬二さん(99年没)ら岡山ゆかりの作家も多い。山陽柳壇選者で岡山市を拠点に川柳「塾」を主宰し、多くの作家を育てた寺尾俊平さん(同年没)や現選者森中惠美子さん(84)=大阪府摂津市=の句も目を引く。

 弓削川柳社顧問の長谷川紫光さん(82)=岡山県久米南町=は「句集の名前を聞いた覚えはあるが、目にしたことはなかった。久米南町を『川柳の町』に育てた丸山さんは郷土の誇り。懐かしい自筆の句をぜひ見たい」。川柳月刊総合誌「川柳マガジン」を発行する新葉館出版(大阪市)の松岡恭子社長は「既に亡くなった作家の筆跡も含め、川柳界全体の財産になるのでは」と驚く。

 芳賀さんは「自費出版が主流の川柳界では、有名作家でさえ、没後は句集の存在が不明になることがある。まさに『幻の句集』。今後は偉大な作家たちが、なぜこの句を選んだのか、背景などを調べてみたい」と話している。

不思議な巡り合わせ

 大野風柳・全日本川柳協会理事長の話 「現代川柳百人一句集」では、「次代を担うであろう作家を」と苦心した。今年は、川柳の原点となる句集「誹風柳多留」が1765年に刊行されてから250年の節目でもあり、不思議な巡り合わせを感じる。人間の生々しい本音を表現する川柳の魅力を、多くの人に知ってもらうきっかけになればありがたい。
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